窓、雨、傘と本棚

カーテンを細く開いて窓の外を見ると、目の前を明け方の首都高と中央線の始発列車が横切っていた。
静かに降る小雨にけぶった白い空気、ひんやりした朝の温度。列車とトラックのタイヤ音だけが耳に届く。
しばらくそのまま見つめていたけど、裸の肩が冷えてきたのでカーテンを閉じた。


いつか、1年後や、5年後、10年後に今を思い出す時、いったいどんな色の記憶として思い出すんだろうと想像する瞬間がある。
この先必ず、繰り返し思い出すだろうとも思う。
そういう景色でした。

多分そういう記憶を後でより鮮明に思い出すために、こうやって文字にして記録しているんだと思う。そういう瞬間を思い出して感傷に溶けるのが好きだから。


今が過去になったいつか。
今を過ぎた自分が何を考えて何を見て何を思うのか。
今には意味なんかなくて、ただ目の前にいろんなものが横たわっていて、私はそれに流されたり受け入れたり逃げ出したりを繰り返しすことしかできない。今が意味を持つのは過去になったその時だと思う。


 
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書き散らしていたら終着点が見つからなくなってしまって、ここまで消してそれから何も浮かばない。
文章がまとまらないまま研究室に着いてしまって、目の前のタスクに手を付けたらどちらもめちゃくちゃになったので、結局不貞腐れ気味にパソコンを閉じました。

梅雨は思考が淀む。身体も重くて、だいたい機嫌が悪い。22年前母の腹から出てきたときも随分不機嫌だったんじゃないかと思う。
紫陽花が咲くから、しょうがないと諦める。ただじっとやり過ごす。
夏は夏で鬱陶しいから、やっぱり5月で終わるべきだったと後悔した。